フランス語と多文化共生政策を学ぶため、カナダへの留学を決意した福本明美さん。
積極的にコミュニティへ参加する中で、価値観の異なる人に対する理解/共感の心、その大切さに気づかされたといいます。
留学を通じ、これまで他人に興味がなかった明美さんが他者理解への関心を高め、心理カウンセラーを目指すまでに!
それは、一体どのような留学だったのでしょうか。
はじめに、モントリオール大学へ留学しようと思ったきっかけを教えてください!
フランス語の習得と多文化共生政策を同時に学びたかったので、留学先をモントリオール大学に決めました。
大学入学前から国際社会に出ても通用するよう、2ヶ国語の習得を志しており、大学入学後は国連の公用語の一つであるフランス語の勉強に励んでいました。
また、地域研究の授業を通じて、多文化共生政策に興味を持ったのです。
日本にいると日本人としか接する機会しか無いですが、他国ではバックグラウンドが違う人同士が共に生きるための政策があることに驚き、もう少し学んでみたいと思ったのです。
そこで、多文化共生政策について学べるカナダ。中でも、英語とフランス語の2言語が公用語となっている、モントリオール大学に注目したのです。
英語の勉強をしながら第二外国語勉強するのは大変じゃなかった?どのように勉強していましたか?
大変でした。正直、2ヶ国語を同時に学ぶのは効率が悪いとずっと思っていました。
それでも頑張れたのは、”モントリオール大学に行く”という目標 / 志を掲げていたからです。
フランス語と英語は脳の使い方が少し違うので、”英語を勉強する日”と”フランス語を勉強する日”を分けて勉強していました。
この工夫によって、ある程度効果的に学ぶことができました。

理想と現実のギャップに触れて得られた感覚とは。
実際に始まった留学生活、驚いたことや発見した事はありましたか。
とにかくいろんなタイプの人がいることに驚きました。
多国籍であることはもちろん、国籍というカテゴリーだけではなく、体の不自由な人も健常者と一緒に働いてたり、そういう人に対して声をかけたり。
それが自然に行われており、いろんな人が社会の同じラインで分け隔てなく生きているのが新鮮な光景でした。
みんなが”平等”というより、”公平”に生きている感覚を肌で感じました。
※モントリオールでは、英語とフランス語の2言語が公用語(ビジネス街は英語がメイン、ダウンタウンはフランス語メイン)
留学中はどのような事に力を入れてましたか。
カナダの社会を身を以て体感するため大学のコミュニティだけじゃなくて地域のコミュニティに参加していました。
例えば、日本文化を発信する団体でイベントスタッフとして餅つきしたり、そこで出会った人の日本語教師になってみたりと、様々な経験をしました。
中でも、留学後半に参加した”先住民族サミット”が心に残っています。
世界各地から先住民族の代表が集まり、先住民族の権利や文化の保護について話し合い、各国政府に提言を行う会議です。
そこでは、先住民族の血が混ざっている人と多様な話をすることができ、カナダの本質を学ぶことができたと思ってます。

先住民族サミットに参加し、何を感じましたか?
長い間先住民族は、後から来た移民によって作られた社会に馴染むことができなかったため、経済的にも環境的にも恵まれていなかったのです。
このような問題は各国に存在しますが、難民を積極的に受け入れているようなカナダにおいても例外ではありませんでした。
“先住民族と交えてるようで交えてない
多文化共生政策を掲げている国でさえ完璧ではない。”
だからこそ、“私達の生活は、先住民族が築き上げた文化や伝統の上に成り立っているのだ”という意識が希薄にならないようにすべきだと感じました。
力を入れていた活動から得た事とはどのようでしたか。
相手の気持ちを100%理解するのは難しいけど、それは自分の努力次第でどこまでも思いやれることを学びました。
相手の立場を理解すると同時に自分の立場も理解してもらうことは、これまで人に興味がなかった私にとってはチャレンジングなことでした。
自己主張の強いイラン人のクラスメイトに悩まされたときには、彼の国のバックグラウンドを探る事で理解するヒントになるのではと考えました。
そうやって少しずつ話していく中で、他者への理解を深めていく。
相手を理解するために相手に近づく。
言葉では簡単だけど実際には大変ですが、この経験で対人関係能力は大きく成長しました。
健全な社会の実現のため、
子ども、教育と向き合うキャリアを歩むことを決意
留学帰国後は留学前とは変化ありましたか。
他者に対する関心が強まり、そこから派生して社会の物事や本質への探究心も増しました。
“先入観や決め付けで、パーソナリティを判断しない社会。”を実現するために、次の時代の人へ多文化共生の教育が大事だと思ったのです。
しかし、一例として日本では就学率が高いけどいじめといった問題は存在しています。教育の環境が整っていても、受ける子供が心身ともに良好でなければ意味がないと思いました。
そう思った時に、自分はとりわけ一人一人に向き合って励ましを送れる心理カウンセラーを志すようになりました。
今は心理カウンセラーとは違う仕事をしてますが、就職活動時期からときが経ってその思いが、どんどん強くなって来ました。
残り数ヶ月で今の会社を退職し、大学院進学の準備を開始します。
留学がきっかけで見つけた夢の実現のためにこれからも挑戦していきます!

ありがとうございました。留学に行く前と後では人との向き合い方も変わったのが印象的でした。多文化共生政策の理想と現実のギャップに気がつくことができた留学生活でしたね。
帰国後も素直に挑戦してきたからこそ、心理カウンセラーになる目標の解像度が高まったのだと思います。
留学での経験は、将来に直結する大事なターニングだったのではないでしょうか?
多文化共生の学びを、今後心理カウンセラーになってからも大いに活かしていただければと思います!これからの夢も応援しています!